国内医療用医薬品トップ10
IQVIAは2018年1〜12月の医薬品国内市場販売実績を発表しました。
日本の医療用医薬品市場の総売上高は10兆3374億円7100万円(前年▲1.7%)と昨年を下回りました。
これは2年連続だそうです。
現在の日本の製薬企業が置かれている立場が極めて厳しいことがわかります。
その中で2018年の製品別トップ10をご紹介します。
10位:「タケキャブ」
「タケキャブ(武田薬品工業)」は、カリウムイオンに競合的な様式でプロトンポンプを阻害することによって、胃酸の生成を抑制するお薬です。
通常、胃・十二指腸潰瘍、逆流性食道炎の治療、低用量アスピリン・非ステロイド性抗炎症薬服用時における胃・十二指腸潰瘍の再発抑制に用いられます。
9位:「アジルバ」
「アジルバ(武田薬品工業)」は、血管を収縮して血圧を上げる体内の物質であるアンジオテンシンIIの受容体に拮抗し、末梢血管の抵抗を低下させて血圧を下げる薬剤で、高血圧症の治療に用いられます。
8位:「イグザレルト」
「イグザレルト(バイエル薬品)」は、血液凝固第Xa因子を阻害することで、血液が固まる働きを抑える薬剤です。
心房で血液が固まりやすくなっている状態を改善することで、血栓が血管に詰まって生じる疾患(血栓塞栓症)が起こるのを防ぐことが期待されます。
通常、非弁膜症性心房細動患者における虚血性脳卒中および全身性塞栓症の発症抑制に用いられます。
7位:「レミケード」
「レミケード(田辺三菱製薬)」は、各種疾患の免疫異常の原因とされているTNFα(ティー・エヌ・エフ・アルファ)の働きを抑えることにより、炎症をしずめ、症状を改善する生物学的製剤です。
通常、関節リウマチ、ベーチェット病による難治性網膜ぶどう膜炎、乾癬、強直性脊椎炎、腸管型・神経型・血管型ベーチェット病、川崎病の急性期、クローン病、潰瘍性大腸炎に用いられます。
6位:「キイトルーダ」
「キイトルーダ点滴静注(MSD)」は、細胞(免疫細胞)の受容体(PD-1)とがん細胞表面のタンパク質(PD-L1およびPD-L2)の結合を阻害し、T細胞の活性化を増強することで、腫瘍の増殖を抑える製剤です。
通常、悪性黒色腫、切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌、再発または難治性の古典的ホジキンリンパ腫、がん化学療法後に増悪した根治切除不能な尿路上皮癌、がん化学療法後に増悪した進行・再発の高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)を有する固形癌(標準的な治療が困難な場合に限る)の治療に用いられます。
5位:「ネキシウム」
「ネキシウムカプセル(第一三共)」は、胃酸分泌の最終過程であるプロトンポンプに作用し胃酸分泌を抑制する製剤です。
また、胃酸分泌を抑制し胃内のpHを上昇させることにより、抗菌薬の抗菌作用を高めることが期待されます。
通常、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、吻合部潰瘍、逆流性食道炎、非びらん性胃食道逆流症、Zollinger-Ellison症候群、非ステロイド性抗炎症薬投与時における胃潰瘍または十二指腸潰瘍の再発抑制、低用量アスピリン投与時における胃潰瘍または十二指腸潰瘍の再発抑制に用いられます。
また、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃マルトリンパ腫、特発性血小板減少性紫斑病、早期胃癌に対する内視鏡的治療後胃、ヘリコバクター・ピロリ感染胃炎におけるヘリコバクター・ピロリの除菌の補助に、他の2種の抗菌剤と一緒に用いられます。
4位:「リリカ」
「リリカ(ファイザー)」は、中枢神経系においてカルシウム流入を抑制し、グルタミン酸などの興奮性神経伝達物質の遊離を抑制することにより、過剰に興奮した神経を鎮め、痛みを和らげる薬剤です。
通常、神経障害性疼痛や線維筋痛症に伴う疼痛の治療に用いられます。
3位:「オプジーボ」
「オプジーボ点滴静注(小野薬品)」は、PD-1受容体を介したがん細胞とT細胞(免疫細胞)の結合を阻害して、T細胞の活性化を促すことで、がんに対する免疫反応を亢進させ、抗腫瘍効果を示す薬剤です。
通常、悪性黒色腫、切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌、根治切除不能または転移性の腎細胞癌、再発または難治性の古典的ホジキンリンパ腫、再発または遠隔転移を有する頭頸部癌、がん化学療法後に増悪した治癒切除不能な進行・再発の胃癌、がん化学療法後に増悪した切除不能な進行・再発の悪性胸膜中皮腫の治療に用いられます。
2位:「アバスチン」
「アバスチン(中外製薬)」は、がん細胞の増殖に必要なVEGFという糖たんぱく質の働きを阻害することにより、腫瘍の増殖を抑える製剤です。
通常、結腸がん、直腸がん、扁平上皮がんを除く非小細胞肺がん、卵巣がん、子宮頸がん、乳がん、悪性神経膠腫の治療に用いられます。
1位:「マヴィレット」
「マヴィレット(アッヴィ)」は、C型肝炎ウイルスの複製に関与するタンパク質を阻害することで、C型肝炎ウイルスの増殖を抑える作用(抗ウイルス作用)を示す薬剤です。
通常、C型慢性肝炎またはC型代償性肝硬変におけるウイルス血症の改善に用いられます。
以上が、2018年の日本の医療用医薬品の売上高トップ10の製品です。
画期的な薬剤、多くの患者さんに役立たれている薬剤です。