【コロナウイルスの影響】注目の薬剤「オルベスコ」って?
こんにちは!タロスケです。
今回はコロナウイルスの影響で注目を集めている「オルベスコ」についてご紹介いたします。
注目集めている理由は下記の通りです。
- 日本感染症学会のホームページに神奈川県立足柄上病院の症例報告の内容が掲載された
- 内容は、新型コロナに感染した肺炎初期~中期の患者3人に適応外で「オルベスコ」を投与したところ、良好な経過を得た。
- 良好な経過とは、「オルベスコ吸入後、1日から2日で解熱および食欲、SpO2、倦怠感の改善」
- ただ注意すべきことは「オルベスコの抗ウイルス作用と抗炎症作用が、重症化しつつある肺傷害の治療に効果があったと考えられるが、今回の症例のみで判断することは難しく、今後使用例に対して幅広く調査を行うことで引き続き検討していく」と慎重な姿勢を示す。
- 注意喚起として、「肺炎症状のない軽症者への安易な投与は耐性ウイルスを増やす可能性があり、避けるべき」とのこと。
テレビやマスコミで「オルベスコ」が取り上げられております。
しかしながら、適応外使用であること、数例の治療経過であること、肺炎症状のない軽症例の安易な投与は避けるべき、とのことです。
今回注目されている「オルベスコ」について調べて見ました。
喘息治療薬「オルベスコ」
今回注目されている薬剤「オルベスコ」は喘息の治療薬として承認されております。
- 一般名:シクレソニド
- 販売メーカー:帝人ファーマ
- 発売日:2007年6月
- 適応症:気管支喘息(吸入ステロイド薬)
オルベスコは喘息市場の中でも耳にすることがない薬剤です。
売上を調べて見ました。
帝人ファーマのIR資料の記載から引用しますと、2016年のの売上が12億円でした。
他の喘息治療薬の売上金額から比較すると、かなり売上金額は小さいです。
吸入ステロイド薬とは
今回注目を集めている薬剤「オルベスコ」は喘息の治療薬です。
喘息の治療薬の中には様々なタイプの薬剤がありますが、オルベスコは「吸入ステロイド」というタイプの薬剤です。
吸入ステロイドというタイプの薬剤は、強い抗炎症作用があり、喘息治療の中心的な役割を果たします。
ステロイドというと、全身性ステロイドなどの副作用のイメージがあります。
この吸入ステロイドは、吸入薬であり、気道に直接届き、内服薬と比べると使う用量が1%程度と非常に少ないです。
このような喘息の中心的な役割を果たす「吸入ステロイド薬」には他にどのような薬剤があるのでしょうか?
フルタイド
- 一般名:フルチカゾンプロピオン酸エステル
- メーカー:グラクソスミスクライン
- 発売月:1998年11月(フルタイドロタディスク)
パルミコート
- 一般名:ブデソニド
- メーカー:アストラゼネカ
- 発売月:2002年1月(タービュヘイラー)
キュバール
- 一般名:べクロメタゾンプロピオン酸エステル
- メーカー:大日本住友製薬
- 発売月:2002年8月(エアゾール)
アズマネックス
- 一般名:モメタゾンプロピオン酸エステル
- メーカー:MSD
- 発売月:2009年9月(エアゾール)
アニュイティ
- 一般名:フルチカゾンフランカルボン酸エステル
- メーカー:グラクソ・スミスクライン
- 発売月:2017年6月(エリプタ)
まとめ
今回コロナウイルスに対する投与経験として「オルベスコ」が注目されております。
喘息治療薬としてのオルベスコの売上は相対的に高くはないのでは?
たくさんある吸入ステロイドの中でも、なぜ今回「オルベスコ」を投与しようと思い、発表したのか、非常に気になるところです。
ぜひコロナウイルスに対する治療薬やワクチンの開発が進んでおります。
開発に最低でも半年以上かかることから、既存薬での効果は非常に気になるところです。
適応外であり使用を推奨すべきではありません。
今は少しでもパンデミックを遅らせる、重症化を遅らせる
そのような1人1人の責任を持った行動は問われておりますね。