MRが知っておくべき「フォーミュラリー」
【更新日:2020年9月20日】 【公開日:2019年11月11日】
今日は、MRが知っておくべきフォーミュラリーについてご紹介します。
なぜ、このようなブログを書くことになったのかと言いますと、先日他社の外資系MRさん(30代、40代)の方と飲み会がありました。
その中の会話で「え?フォーミュラリーってなに?」って言葉があり。
例えば、「今すぐフォーミュラリーって説明はできないけど、なんとなく分かる」なら良いですが、、
「え?フォーミュラリーってなに?全く知らない、、、」と。
そういうことなので、「フォーミュラリーについて」簡単にまとめてみました。
フォーミュラリーって?
まずフォーミュラリーとはどういう意味でしょうか?
フォーミュラリーの定義とは、下記のように述べられております。
「疾患の診断、予防、治療や健康増進に対して、医師を始めとする薬剤師・他の医療従事者による臨床的な判断を表すために必要な、継続的にアップデートされる薬のリストと関連情報」
(Am J Health-Syst Pharm 2008;65:1272-83)
フォーミュラリーについて、もっと分かりやすく言いますと
『患者に対して最も有効で経済的な医薬品の使用方針』
と定義されております。
欧米の先進諸国では、既に多くの医療機関や地域で導入・運用されているようです。
日本でいち早くフォーミュラリーを導入した聖マリアンナ医科大学の客員教授で、日本調剤グループの日本医薬総合研究所 病院コンサルタントグループの増原慶壮氏は、
「日本のようにMRが推奨した新薬を医師が自由に使うような薬物治療は、欧米先進国では行われていない」
と述べられております。

フォーミュラリーの背景
では何故、最近になってこのフォーミュラリーが取り上げられているのでしょうか?
厚生労働省は、
「2020年(平成32年)9月までに、後発医薬品の使用割合を80%とし、できる限り早期に達成できるよう、更なる使用促進策を検討する。」
と定めております。
後発医薬品の数量シェアは急速に浸透しましたが、金額シェアで見るとベースでみる と、後発品の割合は全体の14%にとどまっております。
未だ長期収載品が金額ベースで30.0%と高水準を維持しております。
その効果的な促進策が「フォーミュラリー」です。
フォーミュラリーのメリット
ではフォーミュラリーが浸透した場合の日本のメリットとは何でしょうか?
それは、「最も有効で経済的な医薬品の使用を目指す標準薬物治療の推進」です。
その結果、以下のメリットがあります。
- 政府:後発医薬品を基準薬とすることで医薬品費の削減、
- 病院:院内採用薬品数や医薬品の効率活用による医薬品購入費の削減
と、つまりは年々増加する医薬品費を抑制するために効果的な促進策と位置付けられております。
フォーミュラリーの具体例は?
ではフォーミュラリー導入されている具体例を取り上げていきます。
導入している実績は未だ数パーセントですが、今後全国各地の病院で導入されていくことは間違いのない流れでしょう。
聖マリアンナ医科大学病院
聖マリアンナ医科大学病院では2014年には院内処方ルールとしてフォーミュラリーを導入。
その背景は後発医薬品を優先的に使用するため。
結果、9薬効群に導入し、年間約3700万円の医療費を削減という実績をあげました。
例えば、PPI注射の標準治療が例が公表されております。
- 第1選択薬:オメプラゾール注用
- 第2選択薬:タケプロン静注用(相互作用のあるワーファリン・クロピドグレルの使用患者限定)
その結果、先発医薬品であったタケプロンの購入額は、2013年から2015年にかけて約1/10まで削減という実績を出したそうです。
浜松医科大学病院
浜松医科大学は院内フォーミュラリーを運用しております。
フォーミュラリーを「質と安全性の高い薬物治療を効率的に実施」する上で必要不可欠なもの、に位置付けております。
具体例として、抗インフルエンザウイルス薬のアルゴリズムです。
- オセルタミビルの後発品が第一選択薬
- ゾフルーザが第一選択薬ではない
と、話題の新薬ゾフルーザが第一選択薬で使われることなく、タミフルの後発医薬品が第一選択薬となっております。
つまりは、自動的にインフルエンザの新薬が使用されない。
MRにとっては、インフルエンザの新薬がファーストラインにならない。
このような院内システムになっております。
昭和大学病院
昭和大学病院は院内フォーミュラリーを13薬効群で運用しております。
- ヒスタミンH1受容体拮抗薬:第1推奨薬がロラタジン、第2推奨薬はフェキソフェナジン
- インフルエンザ治療薬:経口剤:オセルタミビル、吸入剤:ザナミビル、注射剤:ペラミビル
東京女子医科大学
東京女子医大は院内フォーミュラリーを5薬効群で実施しているとのことです。
先行実施している昭和大学からアドバイスを受けながら、運用・浸透させているようです。
地域版:日本海ヘルスケアネット
地域版でも作成が進められている「地域フォーミュラリー」
山形県酒田市の地域医療連携推進法人の日本海ヘルスケアネットが、病院、医師会、薬剤師会と連携して進めております。
PPI製剤において、やはり日本海総合病院で実績が出ているようです。
- 患者への影響と可能性:ポリファーマシーが削減
- 医療機関への影響と可能性:地域全体の薬剤使用が収束、薬剤費用の節減、在庫減
- 薬局への影響と可能性:多品種少量在庫の見直し、服薬指導・患者管理の効率化
このエリアを担当しているMRさんは、地域フォーミュラリーが運用された薬効群は、新薬の売上は厳しい結果となるでしょう。
フォーミュラリーからMRリストラ時代へ
- 院内、地域フォーミュラリーで実績が出ている
- 超高齢化社会を迎え、生活習慣病の医療費の抑制は喫緊の課題
費用対効果が検証されてからでしょう。
つまりは、「プライマリケアー領域、開業医担当MR」は、ピンチになるわけです。
このピンチを回避していくためには、「スペシャリティ領域」「オンコロジー領域」のMRが最低ラインです。
プライマリ・開業医MRは転職サイトに登録しておかないと後悔
プライマリ・開業医担当MRは、転職サイトに登録しておかないと、いや転職しないと後悔する日がくるでしょう。
このステップを踏んでいくことは明らかではないでしょうか?
✔︎プライマリMRの将来のステップ
- プライマリ領域は新薬がファーストラインにならない
- プライマリ領域の新薬は売れない
- プライマリ領域の新薬が開発されない
- 既存担当品の特許が切れたら、売る製品がない
- 売る製品がないから仕事がない

おそらくプライマリケアMRは、早期退職制度の対象になる可能性は十分あります。
転職市場にMRが大量に溢れる時代も近いでしょう。
✔︎プライマリ・開業MRが後悔しないために
- 自分の市場価値を確かめる
- スペシャリティ領域、オンコロジー領域、生物学的製剤担当の求人を探す
- 上記のMRになる
- リクナビエージェント:全業界の大手エージェント
- JACリクルートメント(Samurai Job):外資系医薬品メーカーに強いエージェント
- クイック:医薬品ニュースAnswresで有名
特に、現在「Samurai Job」を提供している「JACリクルートメント」は、バイオベンチャーの紹介もあります。
最近の場合、生物学的製剤未経験でもチャレンジできた「サンファーマ」「アムジェン」「サノフィ」「セルジーン」など
MR不要論が唱えられている中、コロナショックが拍車をかけております。
突然何が起きるか分かりません。最近の事例でも、突然「早期退職」が発表され、申し込み締め切りも早い例がありました。
「実質戦力外通行」などもあったという噂も耳にします。
エージェントとのコミュニケーションは無料ですし、しつこい転職のススメもないです。
✔︎登録は数分
- リンククリック
- 入力内容:「基本情報」「学歴」「職歴」
- JACリクルートメントからの情報提供を待つ
これだけです。
自分のことは、自分で守る時代。そのスタートが自分の価値を確かめ情報収集すること。
無料。ノーリスク。やらない手はないでしょ?