ミクス「優れているMR」調査から「医師から評価されるMR」を考察する
こんにちは!タロスケです。
今回はミクスに掲載されておりました「優れているMR」調査から「医師から評価されるMR」を考察していきます。
ミクス編集部が医師600人に対して毎年調査絵を行っております。
m3.com登録医師のうち、下記診療科100人ずつ(開業医50人/病院勤務医50人)にインターネット調査を行ったようです。
- 一般内科
- 循環器
- 消化器
- 呼吸器
- 精神科(心療内科含む)
- 整形外科
調査期間は2019年12月18日~24日にインターネットで調査をしております。
その頃の訪問時の印象に左右されているかもしれません。
総合的に見て「この製薬会社のMRは優れている、と評価できる企業名」を最大3社、自由記載で回答してもらったようです。
今回は各診療科で最も評価が高かった企業名とそこでプロモーションをしている製品名から、
どんなMRが優れているのか?と考察をして行きたいと思います。
一般内科・循環器内科1位:第一三共
一般内科・循環器内科で1位の評価をとったのは、第一三共でした。
第一三共さんの主力品は、
- 抗凝固薬「リクシアナ」
- 抗血小板薬「エフィエント」
- 高血圧治療薬「オルメテック」
- 疼痛薬「タリージェ」
- 逆流性食道炎治療薬「ネキシウム」
- 抗インフルエンザ治療薬「イナビル」
- 抗てんかん薬「ビムパッド」
と内科の医師が高頻度で処方するような主力品が豊富に揃えております。
第一三共のMR数は約2000名とも言われております。
それぞれのMRさんを朝から晩まで病院で見かけるという話です。
彼らの凄まじいアクティビティはどこから来ているの?
- 高い目標
- 管理の厳しさ
- 豊富な講演会
特に彼は、かなりの数を講演会を企画・実施をしております。
ワセダクロニクルにより「医師のマネーデータベース」によりますと、
医師に対する講演料の支払額もダントツに多い企業No.1に君臨しております。
- 支払医師数:15,260人
- 件数:27,090件
- 金額:2,015,000,000円(20億1500万円)
どの期間のデータからは不明ですが、圧倒的な講演会の数をこなしております。
彼らは、自身の担当のDrの多くを講演会に巻き込み、多くのDrに講演会の案内をし、終わった後の処方依頼を行っている。
これだけでかなりのアクティビティをこなしているのでしょう。
消化器内科1位:武田薬品
消化器内科で最も評価の高い企業は武田薬品です。
消化器内科の薬剤としては、
- タケキャブ
- エンタイビオ
などを主力品としてプロモーションをしているようです。
タケキャブは下記のような薬剤です。
カリウムイオンに競合的な様式でプロトンポンプを阻害することによって、胃酸の生成を抑制します。
通常、胃・十二指腸潰瘍、逆流性食道炎の治療、低用量アスピリン・非ステロイド性抗炎症薬服用時における胃・十二指腸潰瘍の再発抑制に用いられます。(引用:くすりのしおり)
つまりは、第一三共・アストラゼネカのネキシウムとの勝負の中での高い評価を得ているのでしょうか。
ここでは、タケキャブよりも「エンタイビオ」のプロモーションの評価を得ている可能性がございます。
エンタイビオとは、中等症から重症の潰瘍性大腸炎またはクローン病に対する治療薬です。
潰瘍性大腸炎は、炎症性細胞の大腸粘膜への浸潤が増加し、これらの炎症性細胞の存在によって潰瘍性大腸炎に特徴的な炎症性反応が引き起こされます。
エンタイビオは、炎症を起こしている腸管組織に炎症性細胞の一種であるTリンパ球の遊走を阻害することで、炎症を軽減するようデザインされています。
近年、潰瘍性大腸炎またはクローン病の治療薬のラインナップも増えて来ました。
以下が適応症のある生物学的製剤です。
●抗TNFα受容体拮抗薬
- インフリキシマブ(レミケード)
- アダリムマブ(ヒュミラ)
- ゴリムマブ(シンポニー)
●JAK阻害剤
- トファチニブ(ゼルヤンツ)
武田薬品は以前「タケプロン」と言ったPPI製剤を有しておりました。
消化器内科の訪問は歴史が深く、継続的に新製品を投入しているようです。
その中でも潰瘍性大腸炎・クローン病と言った、スペシャリティケアの製品も投入しました。
「歴史」「新製品」「スペシャリティケア」と要素が絡み合って高い評価に結びついたのでしょう。
呼吸器内科1位:グラクソ・スミスクライン
呼吸器内科の1位はグラクソ・スミスクラインです。
呼吸器内科の訪問においては、同社は歴史も深く、現在も主力品・新製品を投入しているわけです。
そして今年はアストラゼネカから1位を奪還したようです。
呼吸器内科でプロモーションしている製品は下記の通りあり、競合品もあるようです。
●喘息治療薬
- レルベア(グラクソ・スミスクライン)
- シムビコート(アストラゼネカ)
- フルティフォーム(キョーリン)
●COPD治療薬(3剤合剤)
- テリルジー(グラクソ・スミスクライン)
- ビレーズトリ(アストラゼネカ)
●重症喘息治療薬
- ヌーカラ(グラクソ・スミスクライン)
- ファセンラ(アストラゼネカ)
- ゾレア(ノバルティス)
- デュピクセント(サノフィ)
呼吸器内科の喘息やCOPDの治療薬の競争はグラクソ・スミスクラインとアストラゼネカによって繰り広げられているのかもしれません。
そして、評価が高かった背景として「訪問の歴史」は間違いなくあるでしょう。
そのベースの上に、病院市場・開業医市場ともにニーズがある新製品を継続的に投入しております。
その中でも訪問カバーや頻度などによりグラクソ・スミスクラインに軍配が上がったのかもしれませんね。
精神科1位:大塚製薬
精神科・心療内科の1位は大塚製薬です。
大塚製薬の精神科医療者向けのサイトを構築しているよう、精神科に注力しております。
製品ライナップとしては
- レキサルティ(統合失調症治療薬:2018年発売)
- エビリファイ(統合失調症治療薬)
- セリンクロ(アルコール依存症治療薬)
以前は競争の激しかった統合失調症治療薬市場でしたが、現在はどうでしょか。
新薬の発売状況も調べて見ました。
●統合失調症治療薬
- シクレスト(meiji:2016年発売)
- インヴェガ(ヤンセンファーマ:2011年発売)
- ロナセン(大日本住友:2008年発売)
- ジプレキサ(イーライリリー:2001年発売)
- セロクエル(アステラス:2001年)
- リスパダール(ヤンセンファーマ:1996年発売)
このようにチェックしてみると、統合失調症治療薬の新薬は最近は少なく、大塚製薬が非常に強い市場であることが伺えます。
しばらくは精神科は大塚製薬が強い状況は続くのではないでしょうか。
整形外科1位:日本イーライリリー
整形外科の1位は日本イーライリリーです。
骨粗鬆症治療薬「エビスタ(2004年発売)」「フォルテオ(2010年)」を有しております。
また最近では関節リウマチ治療薬「オルミエント(2017年発売)」乾癬治療薬「トルツ」といったラインナップも増えております。
このため、骨粗鬆症治療薬で築いていった歴史を関節リウマチ市場でも引き継いでいくのでしょう。
整形外科も消化器内科・呼吸器内科・精神科と同様の傾向がありましたね。
- 診療科訪問の歴史が深い。
- 継続的に訪問をしている。
- 継続的に新製品を投入している。
- 訪問頻度も高い。
やはり同じような傾向があります。
まとめ
各診療科で「優秀だと思う医薬品メーカー」から、なぜ優秀だと思われるのか?について考察をして見ました。
診療科の訪問の歴史がある
歴史があるということは周辺知識が豊富であるのでしょう。
周辺知識とは様々です。
- 疾患に対する知識が豊富である。
- 治療薬の歴史の変遷についても熟知している。
- 各大学の教授やキードクターの考えや動向についても把握している。
周辺知識が豊富であるということは、Drとの会話の引き出しも豊富であるということです。
現在の製品ベースの話にも深みがあり、Drの様々な考えを元にプロモーションを行うことができる。
これが歴史あるメーカーの強みでしょう。
だからこそ、MRさんは以下のポイントを抑えて行くと良いのではないでしょうか?
- 疾患に対する知識
- 治療薬の変遷
- 著名なドクターの名前と、最近の動向や考え
自社医薬品のことしか話をすることができない
これは相手目線だとツマラナイ話でしょう。
講演会の医師を巻き込むことができる
優秀なMRさんは講演会の巻き込みが上手です。
皆様の周りのMRさんを見てください。
優秀なMRさんは、多くの担当医師を講演会に招いております。
イマイチなMRさんは、あまり担当医師を招いていないと思います。
なぜ、このような差が生まれるのか?について、自身で考察をする必要があると思います。
この2つの意気込みを感じさせれるかどうかでしょう。
- 参加するメリットを感じさせる
- 参加したい情熱を感じさせる
訪問頻度が高い
訪問頻度が高いことも評価される理由の1つでしょう。
優秀なMRさんは以下の2点をしっかりこなしております。
- アポイントを定期的に取得している
- こまめに顔を出している
人間はいつも顔を出しているメーカーを信頼されます。
またしっかりと時間を共有して情報を伝える必要もあります。
この両輪をしっかりこなしていくことが訪問頻度・面会時間を増やしていくコツでしょう。
ぜひ、皆さんも優秀なMRさんってどのように活動してるのだろうか?
って見て学んで真似をしてみてはどうでしょうか?