MSDが希望退職の募集を開始
MSDも希望退職の募集を開始しましたね。
ファイザーが50歳以上を対象に希望退職の募集をしておりますが、MSDは30歳以上を対象にしているようです。
規模は250人以上を対象にしているとのこと。
MSDは2年前にも早期退職の募集をしておりました。今回も営業やマーケティングの社員を対象にするようです。
個人的に注目すべき点は「30歳以上」です。
ここまで対象年齢を引き下げるケースは珍しいですね。
人件費を引き下げることが急務である、そのメッセージと強い意志が伝わってきます。
MSDの希望退職の背景
MSDの希望退職の背景は、業績悪化でしょうか。
2018年の売り上げは3497億円、2.5%減であったようです。
抗PD-1抗体のキイトルーダが非小細胞肺癌の適応を取得しましたが、肝炎製品と市場の縮小によりマイナス成長であったようです。
しかしながら、希望退職募集の予想される背景は、
- ・製品構成がプライマリー領域からスペシャリティー領域にシフトしている
- ・薬価引き下げの圧力:キイトルーダの売り上げ伸長も、薬価再算定も予想される
ファイザー、MSD、サノフィともにプライマリケアからスペシャリティケア領域にパイプラインの変化に伴い営業体制もシフトしております。
ということは、これまでプライマリケアを担当していたMRは社内での居場所も狭くなってくるでしょう。
そうであれば、転職市場に「プライマリケアーMR」が大量に流れ込んでくるかもしれません。
しかしながら、転職市場の求人の中に「プライマリケアMR」を募集している求人票はレアです。
今後プライマリケアMRはコントラクトMRによってカバーされていく流れになるのではないでしょうか。
MRのサバイバル時代に生き残っていくためには、専門性を持ったMRであることは重要なファクターになるかもしれません。バイオ医薬品を担当しているなどは最低条件になってくるかもしれませんね。
今後のMR数は?
現在、医薬品メーカーはどれくらいのMRを抱えているのでしょうか。
MR数はこの5年でトータルで5000人減少したと言われております。
今後も減少傾向は間違いなく続くでしょう。
MR数トップのファイザーは約2200人のMRを抱えていると言われております。
今回の早期退職で200人は減少することは予想されますので、約2000人になります。
それでもかなり多くのMR数を抱えておりますので、今後のパテント切れの製品やパイプラインのシフトによって引き続き減少していくことが予想されます。
武田薬品も2200人のMR数を抱えております。
ここで今年の武田薬品の新卒採用のMR数が10人程度であったことを考慮すると、将来的には減少していくことは間違いないでしょう。
アステラス製薬も早期退職を実施しMR数が2000人前後になったとされております。
アステラスのプライドもあると思いますが、パイプライン的にも継続的に2000人をかかえていくことは難しいと思われます。
アステラス・アムジェンがアムジェンの子会社にシフトしていきます。そちらに出向している方は転籍するかもしれませんね。
イーライリリリーも多くのMR数を抱えております。
細かく担当領域も分かれており、1つの病院に数え切れないMRを見かける会社ですね。
リリーの大型製品サインバルタもパテント切れを控えていると思いますし、必要のない領域のMRは切っていって今後注力していく領域に人を増やしていくのでしょう。
ノバルティス、ベーリンガーもMRを減少させている噂を聞きます。
逆に国内の中堅会社がこのまま継続的にビジネスを展開し続けることができるのか、チェックしていきたいところです。
画期的な製品を生み出していかないとビジネスを継続できない業界です。
中堅同士で合併しても大手企業のパイプラインに比べたら厳しい状態です。
今後どのような形で業界の中での生き残っていくのか、立ち位置を作り上げていくのか、そこは要注目です。